Nov./'08

’08/11月

2008年11月29日

今週24日はショパン国際コンクールインアジア…神奈川予選審査で昭和音大だった。
ここは大学の小さいホールで残響が少なくて、イメージが薄い子や、イメージがあっても表現を手助けする肝心のテクニックが無い子にとっては最悪の条件…。
頼るべき響きが無いのだから、音にどこまで集中し執着するか?で勝敗が決まる厳しい予選だった。
しかし、中には素晴らしい演奏する方がいて…審査員のアシュケナージ先生(巨匠の御家族)が、思わずため息まじりに拍手され、満点をつけた子までいた…。
以前も書いたが、ショパンはルバートの芸術(モスクワの巨匠ドレンスキーも公開レッスンでそのように言っていた)なのだが、楽譜の中の音符をどうセンスよく崩すかが難しい。
先日、毎月一回通っているお料理教室で、先生が、師匠で日本料理のカリスマから料理の三原則を教わった…と話題にしていたが、音楽と合い通じるものがあるので驚いた…。
料理の三原則…それはつまり 素材、伝統、革新、この三つなのだそうだ。
 まず良い素材を調達し、伝統を守って素材の良さを壊さず調理し、且つそこへ新しい事をどれだけ加味させるか?なのだそうだが、革新が多過ぎても駄目だし少な過ぎても面白くない。
音楽もしかりではないか…、楽譜に忠実に演奏しつつ、その上で自分らしさをどれだけプラスするか?難しいが、クラシック音楽でしかもピアノ曲の定番において、観客に新鮮な感動をもたらす事の難しさは、料理のそれと全く一緒だと思った。
生徒達も立派な先生に細部に渡り指導を受けて来てはいるのだが、料理が舌なら音楽はである。
自分の音をしっかり味見する耳があるかないか?メロディとハーモニーのバランスを聞けるか?イメージどうりの音が鳴っているかどうか?それ以前に確固たるイメージを持っているのか?否か?そしてとどのつまりは、自分の音を聴けるかどうかにかかっていると思う〜。
そういえば、同じ事を先日フランスの若手ピアニスト…ブラレイが奇しくも料理に例えて言っていたではないか?
ピアノ教育者として最近つくづく耳を育てなくてはいけないと思うのだが、今の子供は忙しくて良い音楽を聞いたり美術館に行ったりなどという時間さえなく可哀相だ。
ゆとり教育という言葉を聞いて久しいが子供たちはますます少子化も手伝って忙しくみえるのは私だけだろうか?


2008年11月23日

ブラレイの公開レッスンに渋谷に出たついでに…渋谷のガレットリに行った。
以前映画ラフマニノフの時間待ちに、このガレットリアを目指して歩き回って、とうとう行き着けず、映画に遅れそうになった。
あの時は、ホントに自分の方向音痴を呪ったものだ。
ガレットというと、パリはモンパルナスの呪いまで更に加わって嫌な予感が〜。
しかし、今日は同行の友人がいるじゃあ、あ〜りませんか?ところで、あなたあ〜?地図の方は大丈夫??
えっ??知らないけど、大丈夫じゃあないの?〜甘いよ〜甘いわよ〜という予測どうり、やっぱり迷いました〜。
しかし、何故か友人は、素晴らしい鼻の持ち主であらせられました〜。
何か匂うよ〜クンクン、多分バターの匂い…???私にゃわかりませんが……ひょい?と角を覗くと、あれだあ〜ありました(泣)(泣)(泣)
ガレットリア見つけました。
以前は通り過ぎてた横道に、蔦に絡まった風情あるガレットリアらしき横顔が覗いている。
これがホントの鼻が利くって事?ここのガレットは、老舗中の老舗で、そば粉もブルターニュ産、古びたフランスの田舎をイメージした昼間でもうっすら暗いムードたっぷりの半地下の店内で今回は、ハムとチーズのガレットにリンゴの発砲酒シードル(ガレットにはシードルがお約束!でしょ)をカフェオレボールで頂く(フランス風よ)。
そして、デザートにチョコレートクレープまで頂きましたあ。
あ〜お腹いっぱいに〜嬉しかったのは、最後にエスプレッソに小さなプチシューケット君が付いていて泣けました。
小さな小さなパリに再会でしたあ〜! !


2008年11月19日

パリ日記を書いているせいか、未だに旅行の余韻を引きずりながら、ショパコン教育連盟を頑張っていられる毎日だ。
そんな中、友人の先生に誘われてフランク・ブラレイの公開レッスンに行って来た…。
懐かしい分かりやすいフランス語に再会してワクワクした…。
脱線するが、この間知人に「パリに行き、フランス語聞くと(まだ二回目だが)なんだかほっとするんだよね …」と言ったら、「そりゃあ、いよいよ前世はフランス人だね。」と言われたが、前世認定証とかあって、パリで特典でもあるといいんだけどね(舌)
ブラレイは、フランスで若手実力派ピアニスト、あまり日本では知られていないが、演奏からも容姿からも貴公子だと思い楽しみにしていた。
しかし、会場にヨレヨレジーンズにボサボサ頭でサンドイッチ食べながら現われた時は、目を疑った。
お〜!芸術家ね〜(芸術家はなんでもありですから、)
レッスン受講者は3名。モーツァルトはソナタ、ベートーベンはテンペスト、そしてラヴェルのソナチネ!
勿論、皆さんそれなりに達者に弾かれる。特にモーツァルトは軽快で明るくリズミカルで楽譜に忠実でとても良かったので、ピアニストがどんなレッスンをして変化を遂げさせるのか?実に興味深かった!
ブラレイは開口一番「モーツァルトが誰でも陥りやすい罠があります。それはモーツァルトは可愛い 楽しい、綺麗に弾くのだと勘違いしてしまう点です。」「モーツァルトで大切なのは、オペラをヒントに歌手のキャラクター(性格)をすべて変えていく事に依って、コントラストを作り上げ、且つ曲を立体的にいかに表現するかという事に目を向けるべきであり、その為には少し距離感を持って演奏しないといけない。」と言うのだ。
なるほど〜!うーんさすが〜!さてベートーベンに至っては、「モーツァルトと違い、同じキャラクターで、同じ感情を持ち続けて弾くように〜。」モーツァルトとは違うと言うのだ。
モーツァルトは、オペラ、ベートーベンはシンフォニーというわけだが、オペラのキャラクターは変えなくてはいけないが、シンフォニーの場合は、楽器のキャラクターが当然変わっていくから、多分、芯となる感情は一直線で、シンフォニックに立体的に弾く、さらに難易度高い。
ラヴェルは、それこそブラレイの真骨頂、繊細で蝶のように軽やかに花が開くようなクレッシェンドで〜、柔らかくてクリヤーでダイレクトな音でない壊れやすい音色を作る際、内声のバランスを上手く配合するか?
料理に例え、香りの混ざり具合をまるで嗅ぎ分けるように色あいを配合するんだそうだ。
音を味見する…。そして、料理の最終マジックはペダル…この表現の奥深さ…まさに詩人だ。
正真正銘フランス人だあ。と思えるレッスンに陶酔した…。
バルザック、スタンダールのフランス文学をこよなく愛し、絵画や彫刻を見に美術館に通いづめ、映画を見るのが好き、そして美味しい物を食べるのが大好きなんだとか。(私と一緒じゃあないの〜芸術家はグルメじゃあなくちゃね)
最近、食い気ばかりで、自分の日記見ながら、パリに何しにいったんだろ?と悲しくなってたので、強い知的な味方をつけ元気になった…。
久し振りに、感性たっぷりのイメージ溢れるフランス的エスプリの詰まったレッスンに、ますますフランスかぶれに拍車がかかりそうな感じだ。


2008年11月10日

名古屋ステップの翌週は、また名古屋にショパンコンクールインアジアの審査だった。
あらためて、手帳を見て、過密スケジュールに唖然だが、移動も審査も嫌いじゃないが、腰が痛いぞ!
しかし、ラッキーな事に大学生とコンチェルト、一般の審査(時間も短くて、講評書きがないんです)だった。
しかし、皆さんお上手でしたあ。目を閉じるとポーランドやパリが浮かぶ演奏が何人もいらした。
同じ曲にも色んな解釈、捉え方があるが、ショパンは難しい、審査委員長のS先生(実は同門の大先輩でした。先生は優等生中の優等生で、しかも一番弟子であらせられ私は、いわゆるノダメで、不祥の弟子〜そんな先生と同席しているのもおこがましいほど、お偉い先生とご一緒でした)が、ショパンは皆さん自由に弾くと勘違いなさる方が多いですが、ほんとは凄く古典的なんですが、それをただ弾いては、面白くないから自由に弾きますが、決められた中での自由をどうセンスよく弾くかが難しい。
それは、バランスであったり音であったり、ハーモニーであったりと講評でおっしゃって納得だった。
いわゆる自己流と個性とは違うのだ。バランスや音の事まで楽譜には書いていないから、どう古典的に自由にするかは本人のセンスに依るところが大きい。
そうなると、どう曲のイメージを膨らませる力があるかにかかっていると講評の後でもお話されていた…。
表現力とテクニック〜テンポ・リズムを大きく揺らさない上でのセンスある自由さと優雅さ、ーランド的な素朴さも、時おり交ぜて、優雅でお洒落で、詩的で嫌味なく、癖も無く、それでいて個性的???そんなピアノを子供に目指させるのは、何と酷な事だろう!
しかし、中にはそれに近い演奏する子供達に時おりお目にかかるから驚きだ。
案外、考え過ぎず素直に解釈したら、近道かもと思う今日この頃だ。
私の学生時代の恩師(ショパンのエキスパートでいらした)がノクターンを、“貴女みたいなお子ちゃまにはまだ理解出来ないわ”と当時高校生の私に向かって言い放たれた。
その意味が、当時の先生の御年に近付いて、やっとわかりかけてきたところだ………。
とはいえ、ショパコンはまだまだこれからです。
どうぞ皆さん頑張ってください。


2008年11月04日

パリ日記を毎日書いているので、普段の更新が途絶えてしまい、三好先生はスッカリ〜フランス惚けてると思われちゃあ…まずいので、フランス帰国その後の日常を書いておかないとです。
黙ってフランスに旅立ち、何のお土産もなく、ちゃっかり帰ってきたが、生徒のみんなには前より元気にパワーアップして、再会出来た気がするが…身体は正直で、時差ぼけ腰痛再発で、また電気治療に通う日々だ〜。
10月の5週めを利用して、一週間休んだだけだから…、飛行機降りたその日から、真面目にレッスンをし、翌週はピティナステップ審査で名古屋にも行ったのだった。
リフレッシュ休暇の後には、ショパコンや教育連盟を控えた生徒達が、そろそろ殺気だって待っていたが、こちらはなんだか気持ちにすっかりゆとりさえある…(すみません)
名古屋ステップでは、そんな私にタイムリーにも、ウィーンやフランス留学10数年で、つい最近帰国した若い先生方とご一緒だったので、審査の合間には調子に乗って上気して、パリの思い出を語りまくった…が、嫌な顔一つせずお付き合い下さった。
「パリの話をしてる時は、先生まるで故郷の事を語ってるみたいですよ〜多分前世はフランス人だったんですよ。フランス語も上手いし〜」、とツボを押さえた褒め方に、もんどりうつくらい喜んでいい気になってしまった…。
とにかく興奮しているうちにパリ日記を書かないとと…レッスンの合間ぬって書いているが、レッスンも真面目にやっとりますからね〜





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