| 先週末、18日はピティナステップ審査で熊谷に2泊していた。 移動も新幹線もホテルも大好きというか?環境が変わるのが大好きなので、これから始まる夏の審査、日本横断大移動も楽しみなくらいなのだ…。 どんな事でも楽しみに替えられるポジティブな性格のせいか?人様が大変ですね(汗)とおっしゃるほど苦ではないのが、申し訳ない〜。 移動の新幹線では、溜まったメールの返信をしたり、本を読んだり、吟味したお弁当食べたり、あっという間だ…。 ホテルは、一度お化け遭遇初体験して以来、誘眠剤を必ず飲むようにしているし、水晶も身に着けてるから大丈夫だし〜。 ところで、東北新幹線に常備してあるトランヴェールという雑誌の今月号に、なかなか感動するというか?身につまされる内館牧子さんの文章が乗っていたので紹介したい。
 「醜い親子」
東京駅のホームで「はやてを待っていると、私の足元にサンドイッチとお握りが飛んできた。両方とも買ったばかりらしく、透明のラップで包んだままだ。驚いて飛んできた方向を見ると、学齢前の男の子が両親の前で泣き叫んでいる。 「あんなもん、食べたくないッ。あんなのイヤッ。あんなもん、ゴミ。ゴミ‥。」 驚いた。本当に「ゴミ」と言ったのだ。ゴミだから放り捨て、私の足元に飛んできたのだろう。さらに驚いたのは、両親がこのバカガキを一切叱らず、 「ごめんごめん。じゃ、のり巻ならいいかな?おいしいのり巻も買ったんだよ」 なんぞとぬかす。そしてバカガキとバカ親は並んで、ホームで大口を開けて食べ始めた。私はすぐにその場を離れた。とても冷静に注意などできず、こいつらに上手投げをかましかねない自分を恐れたのだ。 2007年に、私はテレビ朝日で五時間の大作ドラマ「白虎隊」の脚本を書いた。 ご承知の通り、白虎隊士は、会津藩の少年兵である。数え年の16歳から17歳の彼らの日常生活や藩校生活を調べていくと、いかに真摯に毎日を送り、つましい日常に喜びを見つけていたかがわかる。親や教師は懸命に生き方を説き、厳しくしつけ、彼らは恥じぬようにそれらを守った。 白虎隊士が飲まず食わずで戦い、土砂降りの山中で野営を張ったのは自刃する前夜だ。食べ盛りの少年たちは、寒い山中で冷たい風雨にさらされ、すきっ腹を抱えて夜を過ごした。私はそのシーンを作る時、少年たちに「思い出のごちそう」を語らせようと思った。今までに食べたごちそうを、みんなに尻取りのようにあげさせるのだ。 少年たちは会津の「こづゆ」や「棒鱈」をはじめ、「ふかしカボチャ」「茹で豆」「納豆」「そば」「干し柿」などを次々にあげ、 「すごい大ごちそうだ!」 と、はしゃぎ、食べた気になろうとする。しかし、翌日には何も口にせぬまま、自刃して果てるのである。 あの頃、会津では学齢前の幼児たちにも 「戸外で物を食べてはなりませぬ」 と叩き込んでいた。あれから140年がたったとはいえ、食べたくない物を「ゴミ」と言って投げ捨てる幼児と、それを叱らぬ親、そしてそろってホームでのり巻を頬張る姿は、あまりにも醜い。
トランヴェール5月号より
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