| 5月22日 今週はリスト音楽院のナードル教授が、我が家にお見えになった。 ナードル教授は、毎年5月東京IMCの紹介で日本にいらっしゃる事になっていて、東京、名古屋を中心に各地を回られている。今年でかれこれ4年目となる。 先生はとても親日家でいらして日本料理で嫌いなものは無い。普通の日本人でさえ好き嫌いのある、イクラ、生ものから納豆、ネギヌタに至るまで何でも食べられるのだ。 だから昼食を準備するのも楽しみの1つであるが、何と言ってもそのレッスンの素晴らしい事。情熱的なレッスンなのである。随所、自ら弾いて聞かせてくれるのだが、その音色の素晴らしいこと、1フレーズでショパンを奏でた瞬間、さっーと日本の湿ったレッスン室からポーランドの渇いた大地に自分が立っている錯覚に陥る。 情熱的でダイナミックな表現力、繊細かつロマンチックな音楽性、その1つ1つが私の好みだ。 テクニックはあまり重視しないか?と思い油断していれば、指使い1つ1つにもこだわる。マエストロ(マイスター)とはヨーロッパでは、職人という意味です。職人が1つ1つ細部に渡って細かくこだわり、地味な積上げをしていくのです。 芸術家とは、その細部に渡るこだわり、つまり練習の積上げ無くしては、表現力もあり得ないから、ゆめゆめ練習を怠ってはいけないのだそうだ。いたくこの言葉に感動したのが忘れられない。 ダイナミックで情熱的でロマンチックなナードル先生の演奏に陰には、どれだけの努力と忍耐の積み重ねがあるものかと感じさせられることばだ。 そんな偉大な先生だから我が教室に60名の生徒がいようと、練習不足だったり、レッスンの未消化なレベルの子を見させる訳にはいかないのが苦しいところである。 6名の枠のうち知り合いの先生に全国レベル級の生徒を2〜3名助っ人に来て見て頂いた。 遠路高い交通費を払い、申し訳なかったが、それでもナードル先生のレッスンは期待を裏切る事は無かったので、私としては嬉しかった。 また素晴らしい友人の生徒のレッスンを見させて頂き、すごい勉強になり、その上良い刺激になった。 千葉から来られた小3のS君は今年ピティナD級を受ける強者。かわいらしいあどけないその容姿から素晴らしいモーツァルトやバッハ、ドビュッシーの音色が紡ぎ出されるのが信じられない。 もの凄い集中力と音楽の間にとられる緊張感、天才とはこういう事が出来るのだなとびっくりした。ナードル教授も絶賛されていた。 今日は素晴らしい生徒に出逢え、大変有意義でしたとおっしゃっていたが、多分S君の事がとりわけ心に残ったのに違いなかった。 うちのA.I.君も頑張っていたし、名古屋から来てくれた友人の生徒のI君も素晴らしかった。ナードル先生もずいぶんと興奮して教えて下さった。 最後にどんなに疲れていても、素晴らしい才能に巡り合うと疲れを感じないものです。(逆もあるが...)まして、小さい子は全幅の信頼を先生に預けます。天才を預かってしまったら先生は、責任重大で幸せと同時に大変な重責でもあるのですよと釘を刺された。ウーム!本当にそうだと思った!! 素晴らしい生徒に巡り合えたら先生も日々勉強しなくてはならないし、疲れた!なんぞと言ってはいられないのだ!! 実は年末にある著名な先生にレッスンを聞いて頂く機会があったA.I.君、ひょんなきっかけで、モスクワで開かれる青少年のショパン・国際コンクールに出てみないかと誘われた。 まだ国内で勉強する事が山ほどあるのに、国際コンクールなどと恐れ多いと思ったが、そんな有難い申し出を辞退する理由も勇気も無く、テープを作成して出す羽目に。 どうせ駄目だろうと当てにせず待っていたら、つい先日合格の返事が届いてしまったのだ。 一次予選は勿論、海の向こうのロシア、モスクワである。ショパン・オール・プログラムでワルツ,ノクターン,ポロネーズ各1曲、マズルカ,エチュード各2曲、プレリュード3曲、そしてバラード,コンチェルト全楽章を用意しなくてはならないのである。 というわけで、9月初旬から私もA.I.君とモスクワ入りである。 小3の時から彼を預かっているが、彼の努力は尋常ではなかったが、とうとうここまで来たか!と指導者の私としてはこれから2人で海を越えるのだという覚悟を新たに頑張らねばならない。"冬のソナタ"で時々気分転換をしながら、A.I.君とジュニアGそしてモスクワ...すごい重責である! 勿論AI君だけではない。6月中旬にピティナ予選が始まるのだ。 そう思うと一層、身が引き締まる思いの今日この頃である。 |
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| 私がハワイで息子の挙式をしている最中には、大阪で夢コンチェルト全国大会があった。 取り敢えず出発する直前までレッスンはしておいたものの、大切な全国大会のリハーサル、本番にも付き合ってあげられなかったのは、生徒には大変申し訳なかったが、当初予選のテープ審査にテープを出した時もまさか、本選に行けると思っていなかったし、ましてや本選から全国大会に出場出来るなどと夢にも思っていなかったので、5月の連休をすっかりプライベートに空けてしまっていたから、どうしようも無かったのだ。 海の向こうで、今頃生徒が弾いている頃かな?と時差を計算しては健闘を祈っていたが、ソロと違ってフル・オーケストラをバックに演奏するのは、生徒にとってはこの上ない貴重な体験だが、それにしても不安もいっぱいあっただろうに。 せめて、そばにいて励ましたり、アドバイスしてあげたかったが仕方が無い。 成田に着くや否や、携帯に電源を入れたら、メールが入っていた。 何とY.N.さん(小6)が「ベスト・オブ・バロック賞」を受賞したとの事だった。 私には「ノミの心臓」などと言われ続けた子だが、しっかり自分のペースで弾いたに違いなかった。 すごく嬉しかったし、私が付いてあげられなかった悔いがあっただけに良く頑張ったねと、生徒に感謝したい気持ちでいっぱい!! 何か息子の結婚で御祝儀を頂戴した気分だった。 一緒に参加した天然のC.U.さん(中2)は惜しかったが、関係者の先生に聞けば、とても良い演奏をしたとのお褒めの言葉を頂いた。本人もお母様も素晴らしい体験が出来たと喜んでいた!!ご苦労様でした。 2人共、夏のピティナに向けまた休む間もなく再発進だ! これからも、一緒に頑張りましょう!! ところで、ハワイから帰国した1週間、何をしていたかと言えば、「冬のソナタ」の再放送にはまり続けていたと言っても過言ではない。 当初、20話の完結編まで時間を忘れ猛スピードで見続けたあと、何か心に重くドーンと残るもの有りで、また繰り返し、繰り返し見たいのだ。 そんなことばかりしていた。何しろずっとこの世界に浸っていたい訳だ。 いわゆる、「冬ソナ」マイブーム状態。すっかりミーハーよろしく、巷のオバタリアンになったと思うと情けないが、それではあんまりではないか? 何故「冬のソナタ」がこんな空前のブームで我々、分別ある熟年をこうも仕事そっちのけで虜にしてしまったのが深く研究しなくていけない。 好奇心の強い私は、ひたすらそれが気になっている。 次回、エッセイにしてみるので、お楽しみに、どーぞ??
 <私がこんなことをしている間に。> |
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| 5月の連休は、ハワイに行っていた。 "まあ何と優雅な"と思われるだろうが、実は一人息子の結婚式に行っていたのだ。 そんな大きな息子さんがいるんですか?と良く言われるが、私は仕事柄、子供相手なせいか?また童顔のおかげか、年より若く見られがちだ。 結婚も親の勧めで早い方が良いと中学校の同級生と大学を出てすぐしてしまったから、子供を産むのも早かったので、巷の先生よりずっと早く子供が育ってしまった。 そんな息子も21才なのだから、まあ本当は自慢出来る程若くは無い訳だ。 息子の結婚については、当初反対だった。理由は1つ「若すぎる」という事だ。 まだこれから社会の中でもまれて、もっと大人になって欲しかったし、まだ勉強も遊びも色んな意味で多くの経験をして欲しかったからだ。 大体まだこんなに若い未熟者と結婚した相手が可哀想ではないか? その上、我々家族は、息子が中学に入ったと同時に、主人が海外単身赴任で7年間居なかった。 父親不在で寂しかったせいか、高校時代は猛烈な反抗期で口もろくに聴いてくれず、どれだけ母親として寂しい思いをしたことか。 やっと主人が戻り、やれやれ親子3人で、仲良く平凡な幸せがやってきたと思っていたから、がっかりした。 しかし、うちの子(男の子は皆そうなのか?)はいくら説得してもこうと決めたら揺らぐ事はなかった。 こうなったらなったで、何事もポジティブに考えられるのが私のいいところで、これからは娘が増えるという事、家族が増えるという事を楽しみに、そしてまたそれを生き甲斐にすることにしてしまえば良いのだ。 そう思うことにしたら、毎日が楽しくなったではないか?何事も一つ一つ苦労と思っていたらきりがない。要は気持ちの問題だ。 一人息子だし、世間並みの事はすべてやってあげたかったし、そうなると逆に毎日がワクワクしてくるではないか? 勿論、結婚式は海外がいいなぁ?ミーハーな私の思い付きそうな事ではないか? おかげで仕事を持つお嫁さんの御両親や、お姉さん夫婦は忙しいのに、万障繰り合わせ私のわがままな夢に付き合わされる羽目になってしまったというわけだ。 しかし海外挙式は感動だった!本場の教会の式は厳かで厳粛なのだ。 なにしろ教会の中でアベマリアの歌声が響いた時は、もう全員ウルウルだった。 式もまるで映画のワンシーンを見ているようで、それは素晴らしかったので良い想い出になった。 もっと多くの皆に見て貰えないのがひたすら残念だった。 式の後のディナーもその後の海辺での家族でのひととき。 幸せってこんな形?ずっと家族がばらばらだった上、実家も遠く離れていたので、家族が増えるっていいことなのだ!とつくづく実感した。 なんだかいっぺんに家族の幸せを味わえる羽目になった。 自慢じゃないがうちのお嫁さんは、イニシャルK、器量良し、気立て良しの3Kである。 あまり細かいことにはこだわらない男性的な性格だが、それは見せかけだ。一方ではある面とても繊細で、思いやり深いので私や主人をとても大切にしてくれるのだ。(ウルウル) 幸せな形にはいろいろあると思うが、近頃では我々家族になるために、神様が我々3人に授けてくれた人だと思えるのだ。そう思うと、息子以上に彼女が愛おしく大切に思えてくるのだ。 なんだか自慢話になってしまったが、息子も私も主人の長い単身赴任のおかげで家庭運が無かったので、今は家族、家庭という温かさに触れ、幸せである とはいえ、私の同世代の人たちは子供達の自立まで、まだまだ長い道のりの行程中である。 人より早く楽になってしまった分、今度はその余力を人様の子供たちの為に、精一杯働くようにと神様が指示しているのではないかと思う。 成田に降り立ち、携帯に電源を入れた途端、仕事のメールがじゃんじゃん入ってきていた。そうだ5月22日はリスト音学院のナードル教授が我が家にいらっしゃるのだ。 いっぺんに現実に引き戻された。 早速、頑張らねば!!!と思った。 |
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| 4月29日、カワイ音楽コンクールの「うたのコンクール」と「デュオ部門」の中部本選があった。 「うたのコンクール」は今年から開設されたコンクールで、様子が分からなかったが、試しにうちの教室でもお楽しみに出た生徒が藤枝代表になってしまったから驚きだ。 小3年生のM.M.ちゃんは元気に可愛らしい声で「南の国のハメハメハ大王」を歌い、見事、たった1人の藤枝代表に選ばれてしまったという訳で...。 上手な子供はたくさんいたのに、審査の基準がいまひとつ分からなかったが。 可愛らしく、子供らしく元気だった事だけは確かだったと思う。 とにかく伴奏をしていた私も本選出場の為、名古屋へと行かねばならなかった。 練習らしい練習もしていなかったし、とにかく元気良く、楽しく歌って来たらいいに違いないだろうとだけ、認識し出掛けたのが甘かった。 着くや否や、藤枝のカワイ教室の担当者に見つかり、「たった1人の藤枝代表ですから、三好先生宜しくお願いしますね!」とハッパをかけられ舞い上がった。 こりゃまずいわ!!しっかり歌わせねばと気合いがバンバン入っていったではないか? 横を見ればMちゃん、この所早い思春期でトイレに行く回数の多い事、多い事、その上いつもニコニコなのに、表情もこわばり引きつっているではないか? 何とか緊張をほぐし、楽しく元気に歌わせねばと...ムード・メーカーに徹し、2人で手をつないでテンション上げて笑ったり、声を出したりしていたら、すっかりこっちのテンションが上がっていた!! 無事に歌い終わり、お母様の所に「どうだった?」と聞くと、お母様曰く"先生、めっちゃ!早かったですけど、あれでいいんですか?"と言うではないか? やばい!きっと私がテンション上がってすっとばしたに違いない。 「ごめん!!先生のせいだ!」とあやまることしきり。Mちゃんママは、"いいえ、先生のせいではないですよ。うちのMちゃんきっと慌てたんですよ"と言ってくれたが、そんな筈はない、違うのだ!伴奏が早くなっていったに違いない。 あとは後悔しきり、何だかすっかりしぼんでしまった。一生懸命、子供のテンション上げようと自分が逆に上がってしまうなんざ、未熟もいい所だ!!何だかすっかり自信喪失だ。 Mちゃんは、本命の夏のピティナに向け頑張るからとめげてはいないが、一体何の為に私がついて行ったのかと思うとがっかりだ。 やはり伴奏者は、常に冷静でいられるようにしていなくてはいけないと反省だ!Mちゃんは「奨励賞」を貰い、デュオのS.I.さん,W.I.さんの姉妹(昨年は全国大会に出場した)は、見事「努力賞」を頂いた。 この姉妹のWちゃん(姉)は2週間前に手首と親指にひびが入り、ギプスをしたままの本選出場だったから、これは快挙といっていいだろう。 うちの生徒は、本当に筋金入りの根性を持っていて逆境に強い。最近では、子供に学ぶものが多いが、やはり親の姿勢だろう! 私は既に子育て終えているが、これは見習わねばと常に思っている。 |
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